がん細胞をウイルスに感染させて破壊する日本初の「ウイルス療法」の治験を脳腫瘍(しゅよう)の患者で始めると、東京大医科学研究所が18日、発表した。
ウイルス療法は手術、抗がん剤治療、放射線治療に次ぐ第4の治療法として期待されている。
研究チームは、3~4年以内の実用化を目指す。
安全性を確認するための臨床研究では、副作用はほとんどなかった。
通常診断から1年ほどの平均余命だが、10人中3人が3年以上生存した。
今回は医師主導で治験を行い、生存期間がどの程度延びたか、治療効果をみる。
この治療用に改変したウイルスは、あらゆる固形がんに応用できる可能性があるという。
現在、前立腺がんと嗅神経芽細胞腫でも臨床研究を進めている。
藤堂具紀教授(脳腫瘍外科)は「製薬企業の協力を得て実用化を目指したい」と話す。(岡崎明子)