私は、地方のがんセンターの臨床医として、40年間、放射線を用いたがん治療に従事してきましたが、その業務は放射線の有効利用を追求してきたものです。
しかし、なにごとにも「光と影」があり「表と裏」があるものです。東京電力・福島第一原子力発電所の事故は、放射線の「影」と「裏」の世界と向き合わなければならない状況を日本社会に突きつけましたが、政府を含めて「原子力ムラ」という利益集団に関わってきた人、そして組織の対応は醜いほど極めてデタラメで、その状況は現在も続いています。
福島原発事故後の対応もこうしたレールに乗って進められています。破綻した原発の「安全神話」は、100ミリシーベルト以下の被ばくならば過剰発がんは心配ないとする「安心神話」にすり替えられ、汚染地域への帰還を促しています。また、原発再稼働の審査においても「安全基準」から「規制基準」へと言葉を変えて再稼働を進めようとしています。
さらに、原発輸出にも積極的で、日本でも処理の目途が立っていないにもかかわらず、売り込んだ原発の放射線廃棄物は日本が全部引き受けるとか、原発稼働の費用も税金から融資し、原発事故が起きたら日本の税金で補償するという密約を交わして、世界中に放射線物質を撒き散らそうとしています。